株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ

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普及著しいクラウドは、日々進化を続けている。この環境下で複雑なシステム運用を効率的に行うための指針となるのが、ITサービスマネジメントシステム(ITSMS: IT Service Management System)だ。ITSMS に基づいて、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回すことが求められる。

 

クラウド登場によりシステム管理が大変化

クラウドの登場はITサービスを利用する側、提供する側の双方で情報システム管理に大きな変化をもたらした。

クラウドのユーザー企業はシステムを作る作業から開放され、システムを使いこなす管理に重点が移り、サービスを適用する領域やコスト、品質に対する要求、セキュリティ、他のシステムとの整合性などに力点が置かれるようになった。
他方、クラウドのベンダー側はより市場のニーズに合致したサービスを企画し、柔軟かつ迅速に提供することが求められる。

このような使う側、利用する側双方の情報システムの管理にはITSMSでの顧客視点やサービス改善サイクルといった考え方が効果を発揮する。

 

ITSMSはトップダウンの仕組み

IT関連の国際認証には情報セキュリティ管理システム(ISMS:Information Security Manegement System)に関するISO27001や品質管理システム(QMS:Quality Management System)に関するISO9001が普及しているが、ITSMSは日本では約180組織程度での取得にとどまっている。

大手のベンダーはITSMSを取得しているが、中堅以下のベンダーや企業の情報システム子会社などにおいても取得が期待される。

ITSMSを上記QMSと比較するとQMSは現場主導の仕組みであるため、ボトムアップ活動として現場の理解が得やすい。ただし、予防的な品質管理には不向きとされている。他方、ITSMSは経営者主導のトップダウンの仕組みであるため、マネジメント層の理解のもとで事業計画に沿った推進が可能となる。

 

ITSMS構築のポイント

ITSMSを構築する際のポイントは、まず、経営陣が深く関与することである。

そして、プロセス単位に役割と責任の明確化、プロセス間の相互関係の明確化などを通じて組織横断的なプロセスアプローチを実現することが望まれる。
サービスマネジメント目標および各プロセスの重要業績指標(KPI)を設定・測定すること。測定可能な数値目標を設定、測定し、改善のためのきっかけとしたい。

さらに、

・必要に応じてITIL(IT Infrastructure Library)などのベストプラクティスを適用すること
・従来のサービス提供方法や管理体制を有効活用すること
・社内規定・ルールと実態とのかい離を極小化するなど効果的な運用管理手順の実装を行うこと

等があげられる。

経営陣がクラウドに望む「自社のビジネスや企業活動に貢献し、利益に直結する価値を生み出すこと」を実現するために、今、まさにITSMSの構築が求められている。

 

参考:
渡辺浩之(野村総合研究所):ITSMSと組織改革で経営に資する運用を可能に
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20111109/373703/?ST=cloud&P=2

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