新米ITセクレタリィ®の奮戦記~私がMESHで開発?!~【第一章】
それは上司の簡単な一言から始まった
「玉城さん、ちょっとこれやっといて、簡単な資料作成だから。」
上司のこの一言で私の受難の日々が始まったのでした・・・。
私は”ITセクレタリィ®”の玉城璃乃(たまきりの)。※仮名です。
年齢は29歳で、前職は一般事務でした。
今はコンサルティング室という部署でシニアコンサルタント達のアシスタントをしながらスキルアップを目指してます。
異業種・未経験からIT業界へ転職してきたから、学ぶことがたくさんあって、あっという間にもう半年。
上司である紫陽花(アジサイ)室長の指示の元、色々なお客様向けの分析資料や改善提案資料などを原稿をドキュメントにおとしたり資料集めなどの支援をしています。「えっ、なに???この落書き。」なんて原稿を渡されることも日常茶飯事で、最近は室長の手書きの訳の分からない図形や文字らしきものをそれなりに判別できるようになってきたところ。
ちなみに”ITセクレタリィ®”というのはうちの会社のサービス/職種で、ITを知っている秘書、サポート役って感じかな。私はその新人、つまり “新米ITセクレタリィ®” ということになります。
”ITセクレタリィ®”になったきっかけは、20代後半にもなってくると周りに結婚・出産した人が増えてくるじゃないですか。だから私もそろそろ将来のことを~と考えたときに、今はそこそこ大きい企業に就職して安定しているけど、このままで大丈夫かな?と思って転職を視野に入れたんです。そして、求人サイトで【手に職をつける】というワードで検索したところ、ピンと来たのが”IT業界”であり、”ITセクレタリィ®”だったんです。
これまでの事務の経験も活かせて、さらにITスキルも磨ける。
学生時代になんとなく周りに流されてとった秘書検定も活かせるなんて、私にピッタリ!ということで、ご縁があり今に至っています。
そんなある日、突然の紫陽花室長の一言、これが受難の日々の始まりになるとは・・・。
「玉城さん、ちょっとこれやっといて、簡単な資料作成だから。」
はーい。なんですか?どこのお客様向けですかー?と身を乗り出して話を聞くと、簡単に言うとどうやら『IoTのおもちゃを買いたいらしく、それを会社に買ってもらうための起案書なる資料をつくって欲しい』ということらしい。しかも、いつもみたいに原稿はなく自分で考えてゼロから作ってくれ・・・、勉強になるから・・・と。
えぇー、自分が欲しいなら自分でおねだりすれば良いじゃないですか。紫陽花室長が頼めばすぐにOKでるんじゃないんですか?そもそも、そんなもの私は欲しくないですよー。それなら、おいしいスイーツとか、シャネルの口紅とかの方がずーっと良いなぁ・・・。だってうちの社長が時々おみやげで買ってきてくださるスイーツ、すごくおいしいんだもん。
そんな私の心の中を知ってか知らずか、室長は具体的な指示をたたみ掛けてくる。
「この機器の名前は”MESH”というんだ。これはソニーの製品で製品情報はこれ。使い方はこれこれで、購入理由は大体こんな感じ。海野社長はおもしろいもの好きなので簡単にOK出ると思うから、まずは社長向けにつくってみて。期限は今週末で、来週のアタマに確認するね。」
「はい、分かりました。」って流れで返事しちゃったけど、そもそも”IoT”ってなんですかー?”MESH”って聞いたことないんですけどー。色々と質問したいところだけど、『調べるのも仕事のうちだよ。』って返されるだろう。まずはIoTとMESHを調べるところからスタートしますか。そんなことを頭の中で思い浮かべていると、室長のおまけの一言が降りかかってきた。
「あっ、MESH買う表向きの理由は社内研修ってことにしといてね!」
注:この奮戦記は実際のお話を基につくられたフィクションです。実際の組織、人物とこの物語の登場人物は必ずしも同じものではありません。また、誇張や創作が混じっていることをご了承の上、お楽しみください。
(玉城璃乃)