検証！女性エンジニアの数が少ないわけ
・なぜ女性エンジニアの数が少ないのか？
コンピューターエンジニアという職業の比較的高い就職率や収入にも関わらず、
そのポジションの多くは未だ男性によって占められている。女性の社会進出が進む中、
なぜこの分野ではなかなか女性の数が伸びないのだろうか。ここではその原因を考察する。
・女性コンピューターエンジニアのロールモデルの欠如
まず考えられるのは、若い女性が憧れるようなロールモデル
（行動や考え方の模範となる人物）の欠如である。
アメリカでは、様々なテレビドラマや映画に登場する
スマートで美しい女性法科学者たちの影響によって、
法科学者を志す女性の数が増えているという。
同様に、女性の進出が目覚ましい職種には、
若い女子学生たちを啓発する何らかのロールモデルが存在することが多い。
しかし、現在テレビや映画に女性のコンピューターエンジニアが登場することは非常に少ない。
・コンピューターエンジニアに対するネガティブなイメージ
また、コンピューターエンジニアのステレオタイプも影響していると思われる。
アメリカで大学生を対象に行われた調査によると、多くの学生が
コンピューターサイエンスを専攻する学生に対して
「人とのコミュニケーションが苦手」「外見が魅力的でない」
などといったネガティブなイメージを持っているということが明らかになった。
このようなネガティブなイメージは、一般の人がITエンジニアに対して
持つイメージと重なる部分がある。実際に、テレビドラマなどに登場する
ITエンジニアはこのようなイメージを踏襲していることが多く、
ITエンジニアのステレオタイプをより強固にしてしまっていると考えられる。
・女性はメディアの情報に影響を受けやすい
さらに上で挙げた調査では、新聞記事のもつ影響について調べている。
コンピューターサイエンス専攻の学生について、ステレオタイプで描写した
疑似新聞記事と、様々な特徴を持つ普通の人々として描写した疑似新聞記事を作成し、
2つのグループに分けた学生にそれぞれを読んでもらった。
普通の人々として描写された記事を読んだ女子学生の方がより多く、
専攻科目としてコンピューターサイエンスに興味を示したという結果であった。
ちなみに、男子学生においては読んだ記事による違いはなかったそうだ。
この結果は、女性が男性に比べてメディアからの情報に影響を受けやすいということを示している。
女性エンジニアが少ない背景には、ロールモデルの欠如やネガティブなイメージと言った要素に、
女性が男性以上に影響を受けてしまっているという可能性がありそうだ。
・バービー人形が将来の女性コンピューターエンジニアを増やす!?
そんな中、実は意外な分野で女性エンジニアを増やすための活動が行われていた。
バービー人形を製造する米マテル社は、2010年に新しいバービー人形の
職業は何がいいかホームページ上で投票を行った。これに対して、
実際にIT関連の分野で働く女性エンジニアたちが互いに声を掛け合って、
コンピューターエンジニアに多くの票を投じたという。
その結果、スタイリッシュな服装に身を包み、
ピンクのアクセサリーで着飾ったコンピューターエンジニアのバービーが登場した。
実際の女性エンジニアたちがこの投票に参加した理由は、
バービー人形を通じて若い少女たちにこの分野に対して興味を持って
もらいたかったからだという。ステレオタイプなイメージから離れた
スタイリッシュな服装も、彼女たちの提案であった。このバービー人形で遊ぶ中で、
きっと少女たちはコンピューターエンジニアをいう職業をより身近に感じ、
それに対してポジティブな印象を持つようになることだろう。
・まとめ・
今日、IT 関連の職業は大きく成長を遂げており、
コンピューターエンジニアのステレオタイプにも変化が表れ始めている。
コンピューターエンジニアという職業がより身近になっていく中で、
エンジニアを志す女性の数もきっと増えていくにちがいない。
【参考】：外部サイト
Revenge of the Nerds: How Barbie Got Her Geek On
Nudging Girls Toward Computer Science
Woman Gain in Some STEM Fields, but Not Computer Science
Tech’s Gender and Race Gap Starts in High School
Why Aren’t Woman Interested in Computer Science?