クラウド革命 ~ 徒然なるままに ~(1) クラウドとは何か?その意味を考えてみる ①
N&Iシステムズ マーケティング担当の内藤です。
今回は、「クラウド」とは何を意味するのか?を考えてみたいと思います。
クラウドは「クラウドコンピューティング」の略で、「クラウドコンピュータ」とは言いません。日本語に直すと「雲(の中)で計算すること」で、「雲(の中)の計算機」ではないということです。つまり、『モノ』ではなく、『概念(サービス)』なのです。
これを理解するためによく使われているのが「電気」のたとえ話です。自宅で「自家発電機を準備しないと電気は使えない!」としたら、私たちの生活はどうなるでしょうか?(*1)自家発電機は高価ですし、燃料もいちいち買わなければなりません。設置場所や燃料保管場所も必要だし危険物(燃料)管理もし、更に在庫も常にチェックしないといけない。機械のメンテナンスも必要ですし、故障したら直さないといけない。しかも、一度購入してしまったら家族の人数や部屋が変更しても簡単には容量を増やせないし減らしも出来ない。めちゃくちゃ面倒でお金がかかってしまいます。だったら、「電力会社がまとめて発電設備を準備します。電気は使った分だけサービス料として課金しますね。」と言う方式の方がはるかに便利で使い勝手が良いのです。(*2)
そもそも、今の日本に、引越しする際に「XX電力と契約するか、自家発電装置をいれるか、どちらにするか悩んだ。」という人がいるでしょうか?何も考えずに、電気・ガス・水道は公共料金として手続きしてしまいますよね。それは、比較・検討する余地すらないからです。自家発電装置で今月の電気料金を換算したらいくらになるのかなんて計算したことないですよね。
この「自家発電モデル」から「発電所モデル」への変化が、IT世界の中で起きている。この「発電所モデル」のことが「クラウド(コンピューティング)」のことなのです。こう考えると色々な情報を頭の中で整理しやすいかと思います。
「クラウド」に話を戻しましょう。2009年、米国国立標準技術研究所(NIST)が発表したクラウドの定義は、「クラウドコンピューティングとは、ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービスなどの構成可能なコンピューティングリソースの共有プールに、便利かつオンデマンドにアクセスでき、最小の管理労力またはサービスプロバイダ間の相互動作によって迅速に提供され利用できるという、モデルのひとつである。」です。つまり、「下記5つの重要な特徴を有している」ことがクラウドだと説明しています。
- オンデマンド・セルフサービス
- 幅広いネットワークアクセス
- リソースの共有
- スピーディな拡張性
- 計測可能なサービス
「???・・・」。すごく理解するのが難しい説明ですね。私は「それで・・・何?」って思っちゃいました。また、とある方からは、「そんな事はどうでも良いんだよ。だから何なんだ?」と怒られたことがあります。
でも、これって実は『もの凄い』ことなんです。これを実現することで、コンピュータ業界、IT業界の常識がくつがえされ、世界が「変わってしまう」力を持っているということに気づくのに、私は相当時間がかかりました。
文字数がつきてしまいましたので、今回はこの辺で・・・。
次回は、もう少し分かりやすく、具体的な説明を付け加えようと思っています。
*1 これが「常識」だった時代もあります。この時代では、電気を利用することはとても贅沢なことでした。
*2 もちろん、日本全体をカバーする送電網(インフラ)や発電設備自体の技術革新、安定稼動などがあっての話で、発展途上国では必ずしも日本と同じ常識が通用するとは限りませんが・・・。また、火力(石油系、石炭)、風力、水力、原子力など燃料のバリエーションなども考えると、自宅に電力会社と同等の設備を設置することは事実上不可能です。