株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ

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Technology

N&Iシステムズ マーケティング担当の内藤です。
今回は、クラウドはなぜ革命的と呼ばれるのか?について考えてみたいと思います。

第一の理由は(特定分野の利用方法での)破壊的なコストダウンです。

クラウドの特徴とは大きく

  1. 所有⇒使用
  2. 専有するもの⇒共有するもの
  3. 物理的な制約からの解放

にあるとこのコラムで書いてきました。

この3つの特徴を最大限に活かすとどのようになるか?
自動車のたとえ話で説明したいと思います。

もしも、自動車利用でクラウド革命の3つの特徴が実現できたら

今、一般的なミニバンを購入すると300万円くらいでしょうか?*1一方これを今、レンタカーを借りるとまぁ大体1日2~3万円くらい、これが普通の金銭感覚だと思います。

でもこれが
「1時間/千円で、いつでもどこでも借りれて、いつでも返せる。運転しているとき以外、つまり駐車中の利用料はかからない。」
としたらどうでしょう?

自動車で旅行したとしてもそんなに利用するわけではありません。
2泊3日の国内旅行なら実際に運転している時間はせいぜい8時間くらいでしょう?
これなら1日2~3千円くらいなので、合計8千円くらい。

もし、これが実現できたら車を購入する人は相当少なくなるのではないでしょうか?*2

 

一方、貸す立場で考えても、24時間365日フル稼働で自動車を貸せたら、

24(時間)×365(日)×千円=876万円/年

の売上があることになります。

3年償却なら約2,600万円の売上です。
一時購入費用が300万円なら、多少の非稼動率や修理費用があるとしても
(フル稼働で貸せて手間がかからなければ)充分なビジネスモデルになります。*2

もちろん、物理的・空間的な制約があるレンタカービジネスの世界ではこんなことは不可能です。しかし、「クラウド・コンピューティング」の世界ではどうでしょう?

コストダウンを実現する

上述の3つの特徴は保持しているので同じようなことが現実的になるのです。もちろん、コンピュータは上述のレンタカーとは違い利用時間はずっと長い。時間だけで共有してもあまり有効ではありません。でもコンピュータは、例え利用時間であっても、その資源がフルに利用されていなければそれを共有することが可能です。(これが仮想化の技術活用)。*3

そこで、このコンピューティング資源をフル活用し、単に「時間」だけではなく「どれだけコンピュータ資源を使用したか*4」によって適切に按分すれば、上述と似たようなビジネスモデルが成立してしまうと思われるのです。

当然、実際にはこんなに単純ではありませんし、使い方によってはクラウドの方が高くなってしまうケースもあります。しかし、特定分野のコンピュータ利用にとっては、それこそ破壊的なコストダウンが実際に実現してしまうのです*5

ポイントは、ユーザー側(利用者側)が、このメリットを享受するためには、今までのビジネスモデルや常識といったものが変わってしまう(可能性がある)、ということです。

また、上記を実現するために供給者側は「より大量のリソースプールを確保すること」と「一括運用による運用コストの低減(自動化、自律化を含む)」が必要になります。これはほぼ規模の論理です。IaaSのようなパブリッククラウドは規模が大きければ大きいほどコスト低減と適正な按分(シェア)が進み有利になります。このため、全世界で5~6社くらいしか生き残れないだろうといわれています。*6これはユーザー側だけでなく供給者(ITベンダー)側の勢力図も変わってしまいます。

つまり、クラウドによってコンピュータ利用のコストは劇的に安くなる(方策ができた)。但し、それを現実のものにするためには利用者側も「革命」に近い変化を起こさないといけないし、供給者側にも「革命」的な変化が起こる・・・、と。こういうことなのではないでしょうか?

 

二番目以降の理由は次回以降で。

 

*1 ミニバンと一口に言ってもピンきりですが中型のミニバンと想定してください。勿論、税金・保険・ガソリン代は計算外ということで。

*2 もちろん、これは現実的ではありません。自動車を駐車している時に返却するとか、いつでもどこでも借りられるなんてことは、物理的な制約があるレンタカーサービスでは不可能です。それに休日夜間も含めて24時間フルに自動車を貸し出しできるというのも現実的ではありません。でも、もし出来たらどうでしょう?高速道路のサービスエリアでエンジンを切ったら車がパッと消えてそれ以降は利用料がかからない。休憩が終わって呼び出せば瞬時に車が現れる・・・、なんて。世界の常識が変わってしまいます。あくまで「たら・れば」のお話ですが。

*3 例えば、CPU利用率で言えば、ピークを除けば20%もいっていないシステムがほとんどではないでしょうか?

*4 一般的なクラウドの料金は、利用時間だけではなくリクエスト数やデータ転送量など
「どれだけコンピュータ資源を使用したか」により課金されます。

*5 例えば、テスト利用等の短期間利用や、分析系のようなピーク利用とそれ以外の差が著しく激しい業務などでは、劇的にコストダウンします。

*6 昨年、HPがパブリッククラウド・プロバイダー事業を断念しました。日本の大手コンピュータ会社は一体どうなってしまうのでしょうか?

 

naito

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