株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ

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Technology

現在、クラウドコンピューティングの普及などにともなって、企業ITの分野でWAN最適化装置に注目が集まっている。

それというのも、WAN最適化装置は、回線の帯域不足や遅延によるスループットの低下、様々なアプリケーションを経由するために生じる遠隔地拠点のサーバーレスポンスの低下などを防ぎ、業務に支障を来さずにネットワークを利用可能とする装置だからだ。

クラウドだけでなく、拠点に散らばっていたサーバーをデータセンターに集約するサーバー統合や、遠隔地のサイトにデータをバックアップするディザスタリカバリなどでも効果を発揮する。

 

WAN回線の能力不足を補う

WAN最適化装置が注目を集める背景にはWAN回線に十分な帯域があったとしても、実際に通信すると期待するほどの通信速度を得られないことがある。

「回線事情のよくない海外拠点と3D-CADなどのデータを交換する場合、飛行機で飛んだ方が早いという場合すらある」と大手IT企業の部長は明かす。その原因は、Webアプリケーションで利用するTCP通信のウインドウ制御やWindowsのファイル共有プロトコルCIFSにある。

TCP通信では受信側が返した応答パケットを待ってから送信側は次のパケットを送り出す。また、CIFSでは転送するファイルを小さなデータに区切り、1個のデータを送りだすごとに応答パケットを待つ。どちらのケースでもスループットが低下してしまう。

4つの方式で最適化を実現

WAN最適化を図るには1.TCPの高速化 2.プロトコルの高速化 3.キャッシュ機能 4.データ圧縮――の4つがある。
製品によって異なるが、基本的にWAN最適化装置はこの4種類を組み合わせている。

TCPの高速化とプロトコルの高速化では、WAN最適化装置の間のやり取りを独自プロトコルに書き換えることで、一度に送信できるデータのサイズを増やし、やり取りの回数を減らして遅延を防ぐ。

キャッシュ機能では、利用頻度の高いデータを聞きに保存しており、WAN回線を経由せずにデータをクライアントに返す。また、データ圧縮ではWAN回線に流れるデータ量を圧縮して少なくする。

 

トラフィックを最適化する

WAN最適化装置の中には、帯域制御機能や有線制御機能を備えた製品もある。帯域制御は処理が途切れると困るアプリケーションのパケットを優先的に転送するように帯域を保持し、トラフィックを最適化することだ。

また、優先制御は後から到着したパケットであっても、優先度が高ければ先に送り出す方法だ。ルーターの出力インターフェースに届いたIPパケットをいくつかの列に分けて並べ、優先度が高い列に並んでいるパケットから先に処理する。

 

今後、ますます目が離せない

米国に比べ日本のWAN最適化装置の普及率はまだ決して高いとは言えない。しかし、海外進出にともなって国際間のネットワークを強化する企業や、データセンターを中心としたネットワークを構築する企業の増加に歩調を合わせ、数年前から急速な勢いで増えている。

WANは今後、ますます注目されるだろう。さまざまな製品を、ぜひチェックしておきたい。

参考:

WAN高速化
http://www.cisco.com/web/JP/news/cisco_news_letter/tech/waas2/index.html

多様化するニーズへの対応も進むWAN高速化製品
http://it.impressbm.co.jp/e/2012/06/07/4407

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