いま、エンタープライズが面白い
この数年、IT分野のニュースではソーシャルウェブやスマートフォンをテーマにしたものが花盛りで、コンシューマー向けビジネスの動向に偏っていた感がある。一方のエンタープライズ向けITはどうなっているのだろうか?
米国ではすでに2~3年前からエンタープライズ分野が注目を浴び、「次世代エンタープライズ時代の到来」ともいえる状況を迎えているという(本荘修二「インキュベーションの虚と実」第27回、ダイヤモンドオンライン)。
コンシューマー、エンタープライズを問わず、現在のITシーンを形成しているキーテクノロジーにはIDCが「The Third Platform」とよぶモバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルがあるが、これらに続き、いま「DevOps」(デボップ)という考え方が注目されている。「DevOps」はとりわけエンタープライズ分野でのキーワードとなっている。
「DevOps」とは何か
「DevOps」とは開発(Development)と運用(Operation) 部門が協力して、素早くリリースできるようにする取り組み、考え方、コンセプト(概念)のことだ。
その背景にはビジネスとITがさらに密接な関係になり、①ITをビジネスに活用するだけでなく、ITそのものがビジネスとなっている ②市場の変化に対応してビジネス・アジリティ(迅速さ)が求められている――ことがある。
とくに最近、問題となっているのが開発部門と運用部門との間に存在するギャップだ。
開発部門は成果物を早くリリースしてほしいという要望がある一方、運用者は現在のシステムを安定させておきたい、決められたリリースサイクルを守りたい――という要望がある。
開発と運用のギャップは、具体的には開発者はシステム操作について自由が利かないこと、運用者は大量の依頼を処理するゆとりがないことから来ている。
「DevOps」に必要なこと
「DevOps」はこの間のギャップを埋めるもので、測定、共有、自動化、コラボレーション、カルチャーの要素項目が必要となる。
その解決にはシステムについての情報の「測定」、ポータルによる「共有」の仕組みと「自動化」のためのツールが必要となる。
しかし、それだけでは十分ではない。
どんなプロジェクトにも目指すゴールがある。そのゴールはいま、非常に複雑で巨大なものとなっている。少数のスタッフですべてを把握し、コントロールできるものではない。
プロジェクトに関わるすべての人がそれぞれの専門性を持ち寄り、協力するという「カルチャー」が不可欠となる。
いま、エンタープライズが面白い理由は、この分野が活性化していることによって、明確な専門性に基づくエンジニアに「多くの人を巻き込む」ような自動車や電機など「ものづくり産業」の生産現場で発展した方法論が必要となっているからだ。
参考: