新米ITセクレタリィ®の奮戦記~私がMESHで開発?!~【第二章】
「き・あ・ん・しょ」
「よーし、まずは分からない言葉を調べよう!」まだ仕事内容を良く理解していないけど、まずはここから開始だよね。
“IoT” は簡単に調べがついた。なんと、先日の社内研修で教えてもらっていたのだ。良かった~、質問しなくて。
ノートを見ると、「IoT=Internet of Things(モノのインターネット)。従来は主にコンピュータやIT関連機器が接続されていたインターネットにそれ以外の様々な「モノ」を接続すること。」と書いてある。
ヨーロッパで「トイレにIoTが導入されていて、トイレットペーパーが切れそうになると通知がされてすぐに補充される」というサービスがあるとか言ってたっけ。
日本では、スマート家電が身近なIoTだ。冷蔵庫が中に入っている食品で作れるレシピを教えてくれたりするんだよね、家電なのにロボットみたいにかしこくなっているんだった。段々と研修でやったことを思い出してきたぞ!
次は、MESHだ。これは研修でも聞いたことない。ソニーのWebサイトを見てみると、『さまざまな機能を持ったブロック形状の “MESHタグ” を”MESHアプリ” でつなげることにより、あなたの「あったらいいな」を実現できる』と書いてある。つまり、”MESHタグ”ってのがIoTのセンサーってことね。そっか、そのセンサーをアプリで簡単につなげられるってことか。他のページを見てみると、子どもがiPad使って何かやっている写真がある。こんな小さい子どもでもできるの?えっ、センサーって1種類だけじゃなくて7種類も???こんな小さいのに不思議・・・・・
あーでもない、こーでもないと散々資料と格闘した挙句、なんとか概要は理解した(と思う)。
あとは、これを資料にまとめて・・・と。ワードよりパワポの方が良いかなー、絵とか写真も入れたいし。オフィスソフトは得意だから、ここから先はスムーズに進むはず。
そんな感じで起案書の第一版は週末に完成しました!
「えっ、なにこれ?」室長の声が室内に虚しく響く。
「これじゃぁ、ただのMESHの説明資料じゃない。それならソニーのWebサイトを見れば良いでしょ。お願いした資料は『起案書だよ。き・あ・ん・しょ。』目的はなにか?なぜ必要なのか?どう役に立つのか?コストはいくらかかるのか?そういうことが書いてないと全く役に立たないでしょ。」
・・・・・えっ?だって・・・
「『起案書』って言ったじゃん。企画書とか稟議書とまでは言わないから、スケジュールとか今後の運用とか採算計算まではいらないけど、最低限必要な項目は入っていないと起案書にならないんだけど。」
・・・・・なにー?!
「それに必要な説明をはしょりすぎ。玉城さんはMESHの機能から使用事例までさんざんぱら調べたからこれで分かるんだろうけど、社長は初めてMESHのことを聞くんだよ。相手の立場にたって資料は作らないと。”You Principle” (*1)って、研修で教えたよね?」 室長の追加爆撃が続く。
・・・・。
「だって、起案書ってそういうことだから。じゃぁ、ココとココとココとココ。こういう観点を入れて、修正しといて。まさか、資料をつくったらそれがそのままOKになるとは思っていないよね。(ニッコリ)。」
赤ペン先生、もとい紫陽花室長の指示がポンポン飛んできた。
そういえば、配属早々に議事録書かされたら90%以上赤ペン入れられて議事録が真っ赤っかになっちゃったっけ。まぁ、修正するのは仕方ない。さて気持ち切り替えて、やり直しますか~。
この後も当たり前のように、何度も何度も赤ペンを入れられ、ようやく起案書が完成したのでした。
・・・お疲れ様、ワタシ。
*1 You Principle : 数十年前、某企業で実際に使われていた標語。
いわゆる”自己中”の対義語で、お客様(相手)の立場にたって、という意味。
注:この奮戦記は実際のお話を基につくられたフィクションです。実際の組織、人物とこの物語の登場人物は必ずしも同じものではありません。また、誇張や創作が混じっていることをご了承の上、お楽しみください。
(玉城璃乃)